朝ドラ「ばけばけ」の第23週で、日本人になることを決意したヘブン。
トキの祖父・勘右衛門から、
雨清水八雲(うしみず・やくも)
という日本名が命名されるシーンがあります。
これは、古事記に載る「日本最古の和歌」が由来となっています。
「どんな意味なの?」「なぜこの和歌?実話なの?」と気になる人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、
- 古事記の和歌「八雲立つ」の全文と意味とは?
- 「雨清水八雲」と命名された理由はなぜ?
- 小泉八雲の名前の由来と史実とは?
という視点で、分かりやすく解説していきます!
古事記の和歌「八雲立つ〜」の全文と意味とは?

朝ドラ「ばけばけ」で、「雨清水八雲」の名前の由来となった和歌の全文がこちらです。
和歌の全文
八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を
(やくもたつ いづもやえがき つまごみに やえがきつくる そのやえがきを)
「八雲立つ・・・」から始まるこの和歌は、日本最古の歴史書「古事記(こじき)」に掲載されたもの。
この書物に登場する「スサノオノミコト」が、
妻となる女性との新居を建てる喜びを詠んだ歌
として知られています。
詳しい意味や背景などを見ていきましょう!
和歌の背景
この和歌を読んだのは、天上界を追放された「スサノオノミコト(素盞嗚尊)」。
出雲の国で「八岐大蛇(ヤマタノオロチ)」を退治した後の場面で詠まれます。
命を救ったクシナダヒメ(稲田姫命)を妻に迎え、出雲の地に、新居となる宮殿(八重垣)を築いた際の、喜びに満ちた気持ちが表現されています。
のちの『古今和歌集』では、この歌から三十一文字の和歌が定まったとされており、日本最古の短歌とされています。
和歌の意味(現代語訳)
この和歌のだいたいの意味は、以下のとおりです。
多くの雲が立ち上がる出雲の地で、
妻との新居に良い場所を見つけた。
妻を住まわせるために、垣根を幾重(いくえ)にも作ったのだ。
その素晴らしい八重垣を!

「八雲(やくも)」とは、「いくえにも重なる雲」という意味。
神秘的な出雲の情景を表していると解釈されています。
※この和歌により、「八雲立つ」は、出雲をたたえる枕詞(まくらことば)となった。
そして、「八重垣」とは、「いくえにも重なる垣根」という意味です。
原文では、「八重垣」という単語が3回繰り返されているのが印象的ですね。
これにはリズムを良くする効果や、「美しい家をうっとりと眺めて、何度も褒め称えている」という喜びの様子が現れているなど、さまざまな解釈があります。
ヘブン役のトミーバストウさんも出演していた海外ドラマ「SHOGUN」でも、「八重垣」というタイトルの話がありました。
この「八重垣」は、物理的な家ではなく、「乱世を生き抜くために心の中に築く壁」という意味合いで使われていました。
感情を表に出さない日本人のメンタリティを外国人に教えるための、大切なワードとなっていました。
八重垣神社とのつながり
この和歌に詠まれた”新居”の場所。
実は「ばけばけ」にすでに登場しています!
それが、島根県松江市の「八重垣神社」です。
和歌の舞台とされる場所
神話と深く結びつき、「スサノオノミコト」と「クシナダヒメ」の夫婦神が祀られており、古くから縁結びの神社として有名です。
「ばけばけ」では、ヒロインのトキが「恋占い」をした池として登場していましたね!

実際に、トキのモデルの小泉セツさんも八重垣神社で恋占いをしていたそうですよ。
「雨清水八雲」と命名された理由はなぜ?

朝ドラ「ばけばけ」で、ヘブンの日本名にこの和歌を用いた理由はなぜなのでしょうか?
これは、
和歌のテーマである「妻」と「新しい家」が、トキと結婚して新たな人生を始めるヘブンの境遇にぴったり重なるから
だと考えられます。
異国からやってきたヘブンにとって、日本人の妻をめとり、その家(戸籍)に入って国籍を変えることは、「自分の新たな居場所を得る」という大きな出来事です。
「スサノオノミコト」が新居を構えて妻を迎えた喜びを詠んだこの和歌は、まさにヘブンの人生の新しい門出を象徴しているようにも思えます。
また、この後詳しくご紹介しますが、モデルである「小泉八雲」も、同じような経緯で命名されたことが分かっています。
(※「雨清水」は史実の名字である「小泉」をアレンジしたドラマオリジナルの苗字です。)
「小泉八雲」の名前の由来と史実とは?

ラフカディオ・ハーンは、1896年に日本国籍を取得する際に「小泉八雲」と名乗り始めました。
名前の由来として、ドラマと同じように、妻・セツさんの養祖父(稲垣万右衛門)が「古事記」の和歌から取って命名したとされています。
ハーン自身も、以下の理由から「八雲」という名前を大いに喜んで受け入れたと推測されています。
- 「古事記」が愛読書だった
- 島根への愛が深かった
- 自分の人生と重なった
ラフカディオ・ハーンが「八雲」の名を受け入れた3つの理由を詳しく見ていきましょう!
①『古事記』を愛読
ハーンは、日本に来る前から英訳された『古事記(Kojiki)』を愛読していました。
特に、「出雲神話」に強く心を動かされていたとされています。
彼にとって『古事記』は単なる書物ではなく、「日本」という国に興味を持つ入り口であり、島根への強い憧れを抱くきっかけでした。
そのため、日本最古の和歌に由来する「八雲」は、彼が愛した日本の古典や神話の世界への敬意を示す、これ以上ない名前だったのです。
②島根への愛
和歌で使われる「八雲立つ」は、出雲国(現在の島根県東部)にかかる枕詞(まくらことば)です。
ハーンは、島根での生活をとても愛していました。
松江や出雲は、日本文化に触れた原点であり、この地での素晴らしい経験の数々を著書「知られざる日本の面影」に残しています。
「出雲」を象徴するワードである「八雲」を名乗ることは、「出雲の人間として生きていく」という強い地元愛とアイデンティティの表れだったと考えられます。
③新生活との重なり
先ほどからご紹介したように、この和歌は、スサノオノミコトが妻を迎え、新しい家(八重垣)を築く喜びを詠んだものです。
異邦人であったハーンにとっても、日本人の妻セツと結婚し小泉家に入ることは、「新しい家と家族、そして新しい国籍を得る」という人生の大きな再出発でした。
和歌の「妻を迎えて新居を構える」というテーマは、まさに当時の彼自身の境遇とピッタリ重なる、運命的な象徴だったと言えます。
セツさんのお祖父さんのセンスが光りますね!
まとめ
今回は、朝ドラ「ばけばけ」で登場する「雨清水八雲」の名前の由来と、史実の「小泉八雲」について解説しました!
要点まとめ
- 「八雲」の由来は、古事記に載る日本最古の和歌「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」。
- スサノオノミコトが妻との新居を築いた喜びを詠んだ歌。
- ドラマでの命名理由は、異国から来て妻をめとり、新たな居場所を得るヘブンの境遇と、和歌のテーマがぴったり重なるため。
- 史実の小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)も、古事記への敬意、出雲への愛、そして新しい家族を得た喜びから、この名を喜んで受け入れたとされる。
名前の由来を知ると、ヘブン(そして史実のハーン)がいかに日本や出雲の地、そして妻を愛していたかが深く伝わってきますね。
パパとして、そして日本人「雨清水八雲」として新たな一歩を踏み出すヘブン。
クライマックスに向けて、引き続き見守っていきましょう!




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