NHKの朝ドラ「ばけばけ」。
第6週では、物乞いにまで落ちた実母チエの悲しい姿を見て、トキは大きなショックを受けます。
そんなトキに提示されたのが、外国人教師ヘブンの「女中」という仕事。
世間から「ラシャメン」と呼ばれ、蔑まれる存在です。
しかし、その給金は、当時の常識をはるかに超える破格の「月20円」でした。
この「月20円」とは、現代の価値でいくらくらいなのでしょうか?
そこで今回は、
- 【ばけばけ】女中の給料20円の価値とは現在のいくらくらい?
- 小泉セツの史実との違いは?実際は15円!
- ヘブンがなぜ20円も払うのか?理由を考察
といった視点で詳しく解説していきます!
※本記事では、朝ドラ「ばけばけ」の今後の展開が含まれる可能性がありますのでご注意ください。
【ばけばけ】女中の給料「20円」の価値は現在のいくら?
当時の「20円」の価値は、現在の40万円〜50万円ほどの価値があったと考えられます。
つまり、トキの給金「20円」は、当時、本当に驚くほどの高額でした。
当時の公務員の給料などと比較しながら、詳しく見ていきましょう。
非正規教師の5倍
住み込み女中「20円」の給料のすごさ。
ドラマ内での友人・野津サワとの会話でもイメージがついたはずです。
当時、小学校の非正規職員の月給は「4円」。
「サワが5人分」と言っていたように、トキの給金「20円」は、
非正規教師の5倍にもあたる金額
だったのです。
当時の20代の女性にすれば、「ありえない金額」というのが伝わってきますよね。
野津サワの実在モデルについてはこちらの記事をどうぞ。

公務員初任給の2倍
さらに、当時の公務員の初任給を基準に考えてみましょう。
明治中期の初任給は、高卒の教師や警官で「約8円〜15円」が一般的でした。
つまり、トキの給金20円は、
初任給の約2倍以上に相当
します。
初任給が現在の貨幣価値で「約200,000円」だったと仮定すると、トキの給金は、その2倍以上。
つまり、現代の約400,000円〜500,000円、あるいはそれ以上の価値があったと言えるでしょう。
現代のサラリーマンに例えるともっと分かりやすいかもしれません。
トキの20円という月給は、
現在の40〜50代前半の管理職くらいの給料水準
というイメージに近いでしょう。
追記(2025.11.9)
「ばけばけ」の制作側より、「20円は現在の70万円〜80万円、年収1,000万円近く」と言う公式見解が出ました。つまり、1円=3〜4万円ですね。(ニュース記事はこちら)
小泉セツの女中時代の史実との違いは?実際は15円!
小泉セツさんの女中時代の給金は「15円」だったため、トキの給金は史実よりも多く設定されています。
小泉セツの史実
「ばけばけ」の中のトキの給金は「月20円」。
しかし、史実の小泉セツさんがラフカディオ・ハーンの女中として働いたときの給金は、少し金額が違っていました。
史実の小泉セツさんの月給は5円低い「15円」だったと言われています。
小説「ヘルンとセツ」では、月給15円の中から毎月10円を借金返済(稲垣家・小泉家)に充てている様子が描かれています。
自分が贅沢するわけではなく、給料の「3分の2」を家族のために使う。
どれだけ小泉セツさんが背負うものが大きかったのかを伺い知れます。
そして、小説「ヘルンとセツ」では、女中として働き始めるときには、「支度金」として「20円」をもらっている描写もあります。
ドラマでは、月給を「20円」に設定し、「支度金」の額を月給に上乗せしているのかもしれません。
それだけ「魅力的」に見せる必要があったのでしょう。
15円から20円に変えた理由
なぜドラマは、女中の月給を高く設定したのでしょうか?
それは、視聴者にもトキにも、「ラシャメン」が高給な職であることを理解させるためというのが1つ理由としてありそうです。
「ラシャメン」は身売りに近い行為です。
清純なイメージの朝ドラの主人公がそこまで決意するには、「相当の理由」が必要になります。
「ばけばけ」では、実母のタエが物乞いする姿がトリガーとなり、トキが実家(雨清水家)をも背負う覚悟を持ち、自己犠牲に走る・・・。
「月給20円」という高額な給金は、トキの「覚悟」と「視聴者への納得感」を作るための演出だと考えられます。
実母・タエのモデル小泉チエさんについてはこちらの記事もどうぞ。

三男・三之丞のモデル小泉藤三郎についてはこちらで解説しています。

ヘブンがなぜ20円も払うのか?理由を考察
身の回りの世話だけでなく、日本文化に触れたいという欲求、執筆活動への「投資」も含まれていたものと考えられます。
ヘブンの英語教師としての月給は100円。(現在の価値で200万〜300万円)
史実では、旅館に払っていた滞在費は「月10円弱(1日30銭)」だったようです。
そのため、
女中に対して「20円」というのは、旅館の倍以上の経費になるということになります。
一体なぜ、そのような金額を設定したのでしょうか?
お気づきの通り、ヘブンは「夜の世話」をして欲しかったわけではありません。
ヘブンは、単なる家政婦というよりも、日本の侍文化を伝える「士族の娘」を求めていました。
そこには「日本の文化」や「侍の姿」に強い憧れがあったのです。
ヘブンが来日した本来の目的は、「滞在記」を書くこと。
つまり、この「20円」は、ヘブンの「快適な生活」のためだけでなく、
- 日本文化を知るための投資(執筆活動のため)
- 武家の娘への敬意
といった側面がありそうです。
やがて、トキが語る日本の怪談が、ヘブンの創作活動に大きな影響を与えていくというのはご存知の通りです。
つまり、トキは20円以上の価値をヘブンにもたらし、生涯のパートナーとしてかけがえのない存在へと変わっていくのです。
そこに行き着くまで、楽しみにドラマの展開を見ていきましょう!
三之丞へのお金の行き先についてはこちらの記事をご覧ください。

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