やなせたかし夫婦をモデルにした朝ドラ「あんぱん」が話題ですね。
あんぱん第12週「逆転しない正義」では、嵩たちは食糧難に陥り、「タンポポの根」を食べるシーンが描かれます。
これは、やなせたかし先生の実体験を基にしたエピソードです。
そこで今回は、
やなせたかしの中国での飢えの経験や食べたもの
について詳しくご紹介していきます。
やなせたかしが中国で飢えを経験した史実とは?

やなせたかしは、1945年に福建省から上海へ移動した後に、ひどい飢えの経験をしています。
詳しく見ていきましょう。
あんぱんとの違い
朝ドラ「あんぱん」では、嵩たちが中国福建省の駐屯地に滞在中に補給路が経たれ、深刻な食糧難に陥るというシーンが描かれます。
一方、やなせたかしさんの史実では、福建省から上海に移動。
その時に「長期戦に備えて食糧を切り詰める」という目的で食べ物が制限されていたそうです。
史実では、1945年5月、日本軍は福建省の福州・厦門、浙江省の温州にいた部隊を全て上海に集めています。
もともと、その周辺に日本軍が派遣されたのは、米軍が台湾やその対岸に上陸することに備えたものでした。
しかし、1945年4月に沖縄本島に米軍が上陸したことで、「こちらにはやってこないだろう」と判断。
やなせたかしさんたちがいた部隊も上海へ移動し、上海決戦の準備をすることとなったのです。
食事は朝晩の2回のみ
朝ドラ「あんぱん」でも、1日の食事が2回となり、薄いお粥のようなものを食べるシーンが描かれていましたね。
史実においても、上海にいたやなせたかしさんの部隊の食事は、朝と晩の2回だけになったそうです。
それも、お湯の中に少しだけ米粒が入っている「薄いおかゆ」でした。
しかし、空腹で体に力が入らず、やなせさんたちの部隊は皆少しずつ痩せていったそうです。
やなせたかしはタンポポや茶殻を食べて飢えをしのいだ!

当時、やなせたかしさんは、ひもじさのあまり様々なものを食べていました。
具体的には、
- タンポポ
- 雑草
- 茶殻
などが体験談の中で語られています。
やなせたかしさんたちは、その辺に生えている雑草を茹でて食べたり、タンポポもよく食べていたそうです。
しかし、雑草は茹でてもお腹を下すことがあったり、タンポポは苦すぎて無理やり飲み込んでいたとのこと。
最終的には、上官がお茶を飲んだ後の「茶殻」まで食べていたようです。
空腹があまりにも辛く、「腹に溜まるものなら何でもいい」という気持ちだったんだとか・・・。
朝ドラ「あんぱん」でも、空腹に耐えきれず、嵩たちがタンポポの根などを食べるシーンが描かれています。
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「飢えは人間の尊厳を奪う」という実感がアンパンマンへ

やなせたかしさんは、このような壮絶な飢えの経験から、あることを実感します。
それは、
「肉体的な苦痛は、いつしか慣れる。でも、空腹には決して慣れることができない。」
「おなかがすくということは、こんなに情けなくて苦しい」
ということ。
食べるものがなければ、体が辛いだけではなく、心も惨めになっていく。
精神が削られ、気力がなくなっていく。
”飢えが人間の尊厳を奪う”
そのことに気づき、食べ物を分け与えるという異色のヒーロー・アンパンマンの誕生につながっていくのです。
そんなやなせたかしさんを朝ドラ「あんぱん」で演じる北村匠海さん。
「リアリティを持たせるために、実際に絶食して撮影に挑んだ」とインタビューに答えています。
そして、「走って、風呂に入って、汗をかいて、乾パンが1個しかないというシーンに挑む。そんな毎日を過ごしていました」「絶食して挑んだ期間もあります」「最終的には水も抜きました」などとストイックな役作りを明かし、「みんなもついてきてくれる感じで、足並みをそろえてやりました」とキャストが一丸となって飢えた状態をリアルに作り出したという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2c464e5e0e621d52447a11c1d9264732a1837b83
どう映るかというより、自分たちのメンタリティの問題。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2c464e5e0e621d52447a11c1d9264732a1837b83
飢えを経験した中で演じないと、説得力は生まれないと思っていて、お芝居は嘘ではあるので、自分たちの身体状態などリアルな部分にどこまで向き合えるか。
アンパンマンが生まれるに至る、食べ物だったり、捕虜の人たちとの会話だったり、柳井嵩を作り上げるいろいろな要素が詰まっているパートなので、極力リアリティを持って向き合いたいと思いました。
やなせたかしさんの史実に戻ると、食糧を切り詰めて備えていた上海決戦は行われず、そのまま終戦を迎えます。
すると今度は「逆に食糧を敵に取り上げられてしまうかもしれないから、無理やり食べろ!」との通達が降りたそうです。
その命令に従い、苦しくなるほど食べては走り、食べては走り・・・
あまりの馬鹿馬鹿しさに、軍隊というものの理不尽さを痛感したやなせたかしさんでした。
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