やなせたかし夫婦をモデルにした朝ドラ「あんぱん」。
あんぱん第13週「サラバ涙」では、入院している次郎が「大事な夢ができた」と語り、日記のノートに記号のようなものを記すシーンが描かれます。
この暗号は「速記」で、のぶへのメッセージが込められていました。
そこで今回は、
- あんぱん次郎の日記・夢の内容とは?
- 次郎のノートは速記でなんて書いてある?
- あんぱん次郎の日記やメッセージは実話?
について詳しく解説していきます。
小説版「あんぱん」からのネタバレであり、ドラマ版では内容が多少異なる場合がありますので、ご了承ください。
【あんぱん】次郎のノートの記号のような文字は「速記の符号」
あんぱん第13週「サラバ涙」では、次郎とのぶはこれからの夢について語るシーンが描かれます。
以前の次郎は、

この戦争が終わったら、このカメラで色んな国の人たちの写真を撮りたい
と夢を語っていました。
しかし、結核を患ったことで、将来について色々と思うことがあったのでしょう。



今はもっと、大事な夢ができた
と”夢の内容を変えた”ことをのぶに伝えます。
そして次郎は、自分の日記(ノート)にものすごい速さで何かを書き始めます。
その記号のようなものは、「速記の符号」でした。


速記とは、簡単な線や点でできた符号などを使って、人が話す言葉をすぐさま書き取る技術のことです。
テープレコーダーなどがなかった時代には、「速記者」という速記の技術を持った人が様々な場面で重宝されていました。
「あんぱん」の次郎は一等機関士(エンジニア)ですが、速記の習得者でもあったことが判明します。
【あんぱん】次郎の日記(夢)の内容は?なんて書いてある?


次郎の日記には、自分が亡くなることを見越して「のぶへの最後のメッセージ」が書き記されていました。
詳しくみていきましょう。
次郎の夢はのぶへのメッセージ
次郎が速記で書いた日記には、このように書かれていました。
のぶへ
自分の目で見極め、
自分の足で立ち、
全力で走れ!
絶望に追いつかれない速さで。
それが僕の最後の夢や
次郎の夢とは、自分が叶える夢ではありませんでした。
切ないことに「自分がもういなくなること」を見越した内容であり、のぶに託された夢でした。
次郎の夢の意味
ここからは筆者の考察も含めて、次郎の夢の内容の意味を考えてみます。
自分の目で見極める
まず、「自分の目で見極め・・・」とは「周りに流されないこと」。
日本が敗戦し、信じていたものがひっくり返り、教師も辞めてしまったのぶ。
間違った教育をしてしまったという後悔をバネにして、今度こそは自分が信じられるものをしっかり見極めて生きて行ってほしいという次郎からのメッセージです。
自分の足で立つ
次に、「自分の足で立ち・・・」とは「自活する道を探すこと」。
今後、のぶは自分自身で生きていく道を探すことになります。
のぶは自信を失っていますが、「強さ」「逞しさ」「粘り強さ」のようなもの思い出して欲しいというメッセージと受け取ることができます。
全力で走れ
そして、「全力で走れ!」とは「夢や目標が見つかったら突っ走れ」ということ。
この部分は「のぶさんは足が速いき、(夢がみつかったら)すぐ追いつきます」という次郎の言葉が思い出されます。
「君なら大丈夫」「君なら必ず追いつける」という未来ののぶに向けた力強いメッセージです。
絶望に追いつかれない速さで
最後の「絶望に追いつかれない速さで」という言葉。
この印象的な部分は、2015年の映画「走れ、絶望に追いつかれない速さで」という題名と酷似していることが分かりました。
この映画は、若手監督の中川龍太郎さんが実際に経験した”親友との別れ”を題材にしたストーリー。
生前に、その友人がかけてくれた言葉が「走れ、絶望に追いつかれない速さで」だったそうです。
実は、監督の中川龍太郎さんは「詩人」でもあります。
【監督のご紹介】
— 映画『蒲田前奏曲』 (@kamataprelude) July 17, 2020
中川龍太郎監督
本作では、第1番『蒲田哀歌』の
監督・脚本を手掛けております。
詩人としても活躍する中川監督の麗しく儚い世界には毎度心を動かされます🌸
先日に放映された「#春が終わる」には「#蒲田哀歌」に通ずるものを感じました✨中龍ワールド、お楽しみに😊‼️#蒲田前奏曲 pic.twitter.com/sAnYyeYeBW
2010年には、やなせたかしさん主宰の「詩とファンタジー」で年間優秀賞を最年少で受賞した経歴の持ち主です。
ただの偶然かもしれませんが、そのような御縁もありこのフレーズが「あんぱん」で使われているのかもしれません。
【あんぱん】次郎の日記や夢のメッセージは実話?


次郎の日記やメッセージについて、のぶのモデル・小松暢さんのエピソードには残っておらず、フィクションである可能性が高いです。
次郎のモデルと言われているのが、小松暢さんの最初の夫・小松総一朗さんです。
船乗りだった小松総一朗さんは戦時中に下船し、闘病の末に亡くなったことは史実です。
しかし、小松暢さんに速記でメッセージを残していたという情報は確認できていません。
一般的に、船乗りが仕事上で速記を使う機会はほとんどないと考えられます。
一方、小松暢さんは「小松家の支援で速記を習得した」という史実があります。
詳しい事情は不明ですが、一人で残されるかもしれない小松暢さんのことを案じて、小松家から速記の教育費を工面してもらったのかもしれません。
小松暢さんは、速記を習得したおかげで、夫がなくなった後すぐに記者や秘書などの職に就くことができたようです。
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また、史実での闘病期間は3年、ドラマでは1年ほどに短縮されています。
時間の都合上、のぶが速記を習得するのは「次郎が亡くなった後」という設定に変えたのかもしれません。
まとめると、次郎が速記を使っていて、そのメッセージを解読するために速記を学び始めるというのは、ドラマ上の演出である可能性が高いです。
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