やなせたかし夫婦をモデルにした「あんぱん」。
あんぱん第10週「生きろ」では、赤紙が来た嵩が恩師の座間と再会するシーンが描かれました。
その後、カフェでは「代用コーヒーしかない」というエピソードがあり、不味そうに代用コーヒーを啜る場面が映し出されました。
このシーンを見た視聴者からは、「代用コーヒーって何でできてるの?」「代用コーヒーってどんな味?」という声が多く出ています。
そこで今回は、
- 朝ドラ「あんぱん」に登場した飲み物「代用コーヒー」とは?
- 戦時中の「代用コーヒー」は何でできてる?どんな味?
について詳しく解説していきます!
【朝ドラ】あんぱんに登場した「代用コーヒー」とは?

「代用コーヒー」とは、戦時中の日本において、コーヒー豆を輸入できなくなったために生まれた「コーヒー風味の飲み物」のことです。
詳しくみていきましょう。
代用コーヒーが生まれた背景
戦時中の日本は、厳しい物資の統制がありました。
特に、1940年以降は、海外からの輸入はほとんど入ってこなくなってしまいます。
もちろん、「コーヒー豆」も海外産ですから例外ではありません。
「コーヒー豆」は、主に南方(インドネシアなど)から輸入していましたが、それも難しくなって行きました。
そして、1941年のアメリカ・イギリスとの全面的な戦いが始まってからは、コーヒー豆の輸入が完全に絶たれることに。
そのため、一般市民は「本物のコーヒー豆」を入手できず、カフェなどでも飲むことができなくなったのです。
代用コーヒーの開発が始まる
その後、「代用コーヒー」というコーヒー風味の飲み物の開発が進み始めます。
家で作れる「代用コーヒーレシピ」などが婦人誌などに紹介されると、それを参考に作る人も増えて行きました。
1941年末〜1942年初頭には、「代用コーヒー」は家庭の知恵として広まり、戦時中の定番の飲み物として定着していったようです。
朝ドラ「あんぱん」で代用コーヒーが登場した回の時代も、1941年末〜1942年初頭です。
カフェで「代用コーヒーが出てくる」というのは、戦時中の物資不足を反映したエピソードでした。
代用コーヒーが消えたのは1950年代
しかし、終戦後(1945年〜)も「代用コーヒー」は飲まれ続けていました。
米国の関係者向けにコーヒー豆が輸入されることはあっても、飲めるのはごく一部の人に限られていたようです。
大衆向けにコーヒー豆が出回るようになったのは、1953年以降です。
政府が「コーヒー豆の輸入自由化」を段階的に開始したことがきっかけでした。
そして、経済復興が進み、「喫茶店ブーム」が到来。
1950年代後半には、カフェだけでなく一般家庭にも「本物のコーヒー」が広く行き渡るようになりました。
今でこそ当たり前に飲むことができる「コーヒー」ですが、このような事情があったのですね。
戦時中の「代用コーヒー」は何でできてる?どんな味?

戦時中に広く定着した「代用コーヒー」の主な原材料は、大豆・タンポポの根・麦・サツマイモ・栗・黒豆などが使われていたようです。
詳しく見て行きましょう。
身近な食材を炒って作る
戦時中の「代用コーヒー」には、以下のような手に入りやすい食材が使われていました。
素材名 | 特徴・風味 | 理由・用途 |
---|---|---|
玄米 | 香ばしく、やや甘みのある風味 | 炒って粉末にしやすく、入手しやすかった |
大豆 | 焦げ風味が強め、やや苦みがある | 栄養価も高く、炒って代用に適していた |
さつまいも | 焦げ甘い香り、風味は弱め | 安価で豊富、乾燥して粉末化できた |
タンポポの根 | 土っぽく香ばしい、コーヒーに近い苦味 | 西洋でも「たんぽぽコーヒー」として知られていた |
ごぼう | 土臭さと香ばしさが混ざった風味 | 炒ると独特の香りが出て代用になる |
栗・どんぐり | 焦がすとナッツ風味になる | 山の幸として利用、保存も利く |
くず粉・片栗粉 | 香ばしさは弱め | 他素材と混ぜて「量増し」として使われた |
そば・小麦粉 | 香ばしさはあるが、やや粉っぽい | 手に入りやすく、コーヒー風の飲み物に使われた |
「代用コーヒー」には、これらを焙煎して粉末にしたものを、お湯に溶いたり煮出したりして飲まれました。
知恵や工夫で「なんとかコーヒーに近づけたい」という信念が感じられます。
代用コーヒーはどんな味だった?
当時の記録によれば、このような感想が残っています。
- 見た目や香りはそれっぽいが、味はやはり本物のコーヒーには及ばない
- 香ばしいけれど、苦味やコクが足りない
- 味は違うが健康的で良い
このように、味については賛否はあったようですね。
今でいう「ノンアルビール(=似て非なるもの)」のような存在と考えてみれば良いかもしれません。
代用コーヒーを体験するには「玄米コーヒー」がおすすめ
現代においても、カフェインレスコーヒーや健康飲料として「代用コーヒー」は親しまれています。
例えば、
- タンポポコーヒー:妊婦やカフェインを避けたい人に人気
- 黒豆コーヒー:抗酸化作用がある
- 玄米コーヒー:自然食品店などで販売
などが有名です。
筆者も飲んだことがありますが、あまり癖がなくておすすめなのは「玄米コーヒー」です。
香ばしくて少し苦味があり、サラッとしたコーヒー風味のお茶という感じです。
一部のカフェや喫茶店でも提供していることがあるので、見かけた時にはぜひ挑戦してみてください!
まとめ
今回は、朝ドラ「あんぱん」に登場した「代用コーヒー」についてご紹介しました。
戦時中の「代用コーヒー」は、物資が不足した苦しい時代の中で工夫して生まれた飲み物。
一方で、現代の「代用コーヒー」は、意識的に選ばれている健康志向の飲料というポジションとなっています。
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