日本の三大怪談とされる「牡丹灯籠(ぼたんとうろう)」。
2025年の朝ドラ「ばけばけ」にも登場して話題となっていますね!
実はこの怪談、中国のお話を元に作られた「落語の演目」の1つ。
1884年(明治17年)には速記本が発売され、その後は「歌舞伎化」もされて大盛況となります。
さて、そんな「牡丹灯籠」とは一体どのような怪談なのでしょうか?
今回は、
- 牡丹灯籠のあらすじと結末は?
- 牡丹灯籠ゆかりの舞台は東京のどこ?
について詳しく解説していきます!
怪談・牡丹灯籠(ぼたんどうろう)のあらすじと結末は?

初代・三遊亭圓朝により創作された「牡丹灯籠」。
ざっくりとしたあらすじと結末は、こうです。
ある男女が恋仲となるが、身分の違いから会えなくなってしまう。
恋焦がれて亡くなった女性は、幽霊に。
夜な夜な牡丹灯籠を持って男の元に現れる。
逢瀬を重ねるうちに、男は生気を奪われてやつれていく。
お札やお経を念じて女を遠ざけようとするも、ある夫婦の裏切りにより封印が解かれ、男もあの世に連れて行かれてしまう・・・。
「牡丹灯籠」はシンプルな怪談ではなく、実際には多くの登場人物がでてくる複雑な長編ストーリーです。
今回は、「新三郎とお露の悲恋の物語」にポイントを絞ってみていきましょう!
主な登場人物
- 萩原新三郎(はぎわらしんざぶろう):主人公、若い浪人
- お露(おつゆ):侍の娘
- 伴蔵(ともぞう):住み込みの雑用係(下男)
- お峰(おみね):伴蔵の妻
①二人の出会い
舞台は、東京の根津・清水谷。
ある昔、「萩原新三郎」という若い浪人がいました。
両親を早くに亡くした新三郎は、貸長屋で生計を立てている独身。
美男ながら内気で、家に引きこもりがちな性格でした。
ある日のこと・・・。
そんな新三郎を友人が外に連れ出しました。
二人は、亀戸で見事な梅の木を見物。
その後、旗本・飯島平左衞門の別荘へと立ち寄ることになりました。
別荘で彼らを迎えたのは、飯島家の美しい娘・お露。
二人は一目惚れし合い、恋に落ちます。
しかし、相手は旗本の娘。
身分の違いが障害となり、二人は引き離されてしまいます。
②お露との別れと再会
そんな矢先。
「お露が亡くなった」という悲報が入ります。
新三郎に恋焦がれ、その心労により病になってしまったのです。
突然のことに新三郎はショックを受け、無気力な日々を送ります。
お盆が近くなったある日のこと。
新三郎は、用事で出かけた帰り、夜道に迷ってしまいました。
すると、暗闇の中から牡丹灯籠の明かりと「カランコロン」という下駄の音が近づいてきます。
亡くなったはずの「お露」でした。
お露は、
亡くなったというのはお父様の嘘で、今は違うところで暮らしている
と話します。
新三郎はお露との再会を喜び、お露の屋敷で一夜を共にします。
それから、丑三つ時(午前2時)になると、お露が新三郎の屋敷に現れるようになりました。
③やつれていく新三郎
お露と再会できたことで、新三郎はみるみる明るくなりました。
しかし、その体はだんだんとやつれていきました。
そんな主人の姿を心配したのは、住み込みで働いている伴蔵。
伴蔵は、二人が逢瀬をしているところをこっそり見にいきました。
すると、新三郎に寄り添っていたのは・・・
「ボロボロの着物をまとった骸骨」でした。
お露の正体は、亡霊。
新三郎を恋焦がれ、その未練から化けて現れたのです。
④和尚からの助言
翌日。
伴蔵は新三郎に昨晩見た光景を話しました。
お露は亡霊だった・・・
信じられない新三郎。
しかし、お露の屋敷とされていた場所に昼間にいってみると、そこはボロボロの廃屋。
その廃屋の近くには、「お露の墓」が建てられていたのです。
新三郎は、お露の本当の正体を受け入れるしかありません。
伴蔵は、新三郎を寺に連れていき、和尚に相談しました。
すると和尚から提案されたのは、
- 戸口にお札を張ること
- お経を唱えること
- 夜には外出しないこと
- 亡霊と会話しないこと
でした。
新三郎は泣く泣く受け入れ、お露への未練を断ち切ろうとします。
⑤部屋にこもる新三郎
日が暮れると、新三郎はお札を貼った部屋に閉じこもりました。
そして、いつもの時間に、お露がやってきます。
ゆらめく牡丹灯籠の明かり、そしてカランコロンという下駄の音。
扉越しに、お露が新三郎に語りかけてきます。
新三郎はお経を唱えて、会いたい気持ちを必死に紛らわします。
夜が明けると、亡霊は去っていきました。
それでもお露は毎晩やってきて、扉の前で泣き始めるのでした。
開けてください・・・開けてください・・・
お露の声を無視し、お経を唱え続ける新三郎。
愛する人を追い払う新三郎の心労は、想像以上の辛さでした。
「お盆が明けて亡霊が黄泉の世界に帰るまで、頑張りましょう」
そう伴蔵に励まされる新三郎でした。
⑥伴蔵の裏切り
ある夜のこと。
お露の亡霊が、今度は伴蔵とお峰の前に現れました。
お露の亡霊はこのように訴えます。
お札を剥がしてください
これ以上、新三郎様を苦しめるのですか?
すると、妻のお峰が「金100両をくれたらお札を剥がす」という約束をしてしまいます。
そして実際に、伴蔵夫妻は、大金を手に入れます。
伴蔵は葛藤しましたが、妻に促され、お札を剥がすことにします。
伴蔵は震える手でお札を1枚1枚剥がし・・・
日が暮れる前に屋敷から逃げたのです。
結末:新三郎は亡くなる
その日の夜。
新三郎の家で何が起こったのか・・・
それは誰も知りません。
後日、白骨と抱き合った新三郎の亡骸が発見されました。
息絶えた新三郎は、幸せそうな笑みを浮かべていたそうです。
新三郎の遺骨は、お露が眠っている谷中随院の墓地に葬られることになりました。
以上が、怪談「牡丹灯籠」のあらすじと結末です。
※実際には、お露と共に「お米」という乳母の亡霊も一緒にいましたが、今回は省略させていただきました。
歌舞伎版の「牡丹灯籠」の雰囲気はこちらの動画でお楽しみいただけます!
怪談・牡丹灯籠(ぼたんどうろう)の結末に対するQ&A

亡霊のお露と会うたびに、新三郎の生命が削られたのはなぜですか?
お露は、あの世または来世で新三郎と結ばれることを望んでいたのかもしれません。
相手の幸せを願うよりも「一緒に結ばれたい(一緒にあの世に行きたい)」という未練の方が強かったことが推測できます。
結局、お露と新三郎は幸せになれたのですか?
「二人が結ばれる」という結末がハッピーエンドだとすれば、牡丹灯籠もその中に入るでしょう。
お露が亡くなった後の新三郎の憔悴した様子は、後追いをしかねない状況でした。
お露が亡霊として現れなくても、新三郎はあの世に行っていた可能性があります。
牡丹灯籠の結末は別のバージョンもあるのですか?
短編の牡丹灯籠では、「新三郎が自ら札を剥がして外に出る」という結末もあります。
牡丹灯籠の中国の原作「牡丹灯記」はどのような結末ですか?
亡霊の女が現れて男が亡くなってしまうラストは同じです。
その後、道士(道教の師)が祈祷で亡霊を呼び出し、悪事を自供させて地獄に追放するという結末になっています。
そもそも「牡丹灯籠」とはなんですか?
牡丹・芍薬などの流行の花飾りがついた灯籠のことです。
「ほたむとうろう (牡丹灯籠)」
— 蒼い駒鳥 (@aoikomadori) August 18, 2014
作者:月岡芳年
集録:新形三十六怪撰
日付 :1889-1892年
※画像はwikiからお借りしました pic.twitter.com/CSc7dJYwiw
怪談・牡丹灯籠(ぼたんどうろう)の舞台は東京のどこ?

朝ドラ「ばけばけ」で銀二郎が下宿するのは、東京の本郷エリアです。
東京大学があるイメージですが、そこも牡丹灯籠の舞台の1つとなっていました。
詳しく見ていきましょう。
文京区・本郷エリア
三遊亭圓朝の落語「牡丹灯籠」では、「本郷三丁目」という地名が登場します。
男女の悲恋とは直接関係ない部分ですが、登場人物の一人・藤村屋新兵衞が「本郷三丁目の刀屋」を営んでいる設定となっています。
現在は、ビルやマンションが立ち並ぶエリアです。
文京区・根津エリア
主人公の萩原新三郎が住んでいるのは「根津の清水谷」という設定です。
しかし、「清水谷」という地名は残っていません。
現在の根津一丁目あたりに「根津清水町」という町があった記録があるため、この付近である可能性が高いでしょう。
足立区・谷中エリア
お露が眠っていたとされる墓は、「谷中の新幡随院」という設定になっていました。
正式名称は「新幡随院法受寺」。
徳川五代将軍綱吉の生母・桂昌院の墓があることで知られています。
当初は谷中にありましたが、昭和初期に移転し、現在は「竹ノ塚駅」近くにあります。
谷中の寺院跡地は、現在は銭湯になっているようです。
新幡随院があったとされる場所
現在の新幡随院(法受寺)
亡霊になったお露。
墓から毎晩のように新三郎の家に訪れていました。
牡丹灯籠のお露は、怪談の中では珍しく「実体がある(足がある)」亡霊として描かれています。
そんなお露の墓(谷中)から新三郎の家(根津)は、距離にして徒歩10分ほどです。
架空の話ではありますが、毎晩お露が新三郎の家に通っていたと思うと・・・
少しだけ夜道が怖いかもしれません。
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