アンパンマンの生みの親・やなせたかし夫婦をモデルにした朝ドラ「あんぱん」。
この記事では、その第3週のあらすじとネタバレを吹き出し形式(会話形式)でご紹介します。
第3週の内容をざっくり言うと
- パン食い競争にのぶが飛び入り参加して優勝する
- のぶが学校の先生になる夢を見つける
- 嵩の漫画が入選する
- 登美子が離縁して帰ってくる
- 千尋は医院を継がず弁護士になりたい夢を明かす
- 登美子は嵩を医院の後継にするよう提案する
第3週では、嵩がのぶに恋心を抱き始めるという複雑な心情も描かれます。
それでは、あんぱん第3週の詳しい内容を見ていきましょう!
【あんぱん第3週】11〜15回のあらすじ・ネタバレ吹き出し
久しぶりの再会
昭和10年(1935)の春。
朝田石材店にパン屋が併設されてから8年。

おい、これ。



ありがとう!
行ってきます!
のぶが制服姿でバタバタと表に飛び出すと、屋村は配達用のあんぱんを差し出しました。
パン職人の屋村は、時々旅に出るものの、もはや朝田家の家族同然です。
のぶは、高等女学校の5年生。最終学年となりました。
のぶは現在の高校2年生に相当
昭和初期の高等女学校の5年間は、現在の中学校1年〜高校2年(12歳〜17歳)までに相当します。高等女学校は、主に「良妻賢母」の育成を目指し、家事や裁縫、礼節などを教えることを目的としていました。
当時の日本社会では、男女の役割が明確に分けられていたこともあり、男女が別々の教育を受けるのが当たり前だったのです。(思春期の男女が一緒に勉強するものではないという風潮もありました)
高等女学校の卒業後は、家庭に入り結婚する人も多い一方で、さらに女子高等師範学校や女子専門学校などへ進学することも可能でした。
次女の蘭子は郵便局に勤め始め、三女のメイコは高等小学校の1年生となりました。
のぶの教室。
ある生徒の結婚相手が決まったという話題で、歓声をあげて盛り上がっています。
のぶと幼なじみの小川うさ子は、その様子を遠巻きに眺めていました。



うちもウカウカしちょれんわ。
早よう、お相手見つけてもらわんと・・・!



・・・はぁ・・・。
のぶにとっては、結婚相手よりも、将来の夢が見つからないことのほうが深刻です。
今日は、海軍の中尉が里帰りついでに学校訪問に来る日。
のぶたちが講堂で待っていると、軍服姿の貴島が担任に連れられて入ってきました。
緊張感のある空気の中、貴島がのぶに話しかけてきます。



・・・朝田か?



はいっ!
朝田のぶであります!



久しぶりやねや。
あの頃は日焼けして男子と区別がつかんかったき。



あ!!カッチャン!?
のぶは目を丸くして大声で叫びました。
貴島中尉とは、近所でよく遊んでもらっていた年上のお兄さんの「カッチャン」だったのです。
何をして喜ぶ
柳井家。
テーブルに並ぶ食事を前に、タカシは上の空でした。



タカシ、何か考えごとしよったがか。



ま〜た漫画のことやろ。
弟の千尋がいたずらっぽく笑ってからかいます。



千尋さんは医者になるために頑張って勉強しゆうのに、タカシさんはまだ漫画らあ描きゆうがですか?



来年受験でしょう。
小学校の頃は首席であんなに成績がよかったのに・・・。
千代子は深いため息をついています。



タカシは将来、何になりたいがで?



・・・。
寛の問いかけに、タカシは何も答えられませんでした。



千尋はどうながや?



千尋さんはこの医院を継いでもらわんと!



そんなことはどうじゃちえい。
二人とも今からしっかり考えちょけ。



何のために生まれて、何をしながら生きるがか。
何がおまんらの幸せで、何をして喜ぶがか。



これや!というもんが見つかるまで、何べんでも何べんでも必死に考え。
寛はタカシと千尋に優しく諭しました。
”将来”というものが少しずつ迫っていることに、ぼんやりと焦りを感じ始めるタカシでした。
やなせたかしの成績
千代子の「小学校ではいつも首席だった」という言葉は、やなせたかし先生のリアルエピソード。当時、町から田舎の小学校に転校したこともあり、少しも勉強せずともいつも首席でした。男女合わせて20名ほどの小さな学校で、ほとんどが農家の子供だったこともあり、のんびりしていたんだとか。「こんな甘い人生じゃロクな大人になれない」と子供ながらに不安だったそうです。(著書「アンパンマンの遺書」より)
初めての痛み
日曜日。
先日学校に来た貴島中尉が、朝田パンを訪れました。



朝田の家がパン屋なら・・・
今度の祭りで、パン食い競走をしてみたらどうや?



大口のご注文、ありがたいです!
朝田パンは、初めての大量受注に大喜びです。



貴島中尉、ありがとうございました!
のぶは店先で、貴島をとびきりの笑顔で見送ります。
その時。
タカシは千尋がパンを買いに来ていました。



・・・。
キラキラと目を輝かせるのぶの顔を見てタカシは変な気持ちになり、胸が痛みました。
柳井医院。



おじさん・・・
さっきから胸の辺りが痛いんだ。
タカシに相談され、聴診器を当てる寛。



・・・異常なし。
タカシ、その胸の痛みは治療できん。



ドイツ語で Neid、フランス語で envie、英語で jealousy。



世界中の人が経験する厄介な「病気」や。
寛は聴診器を外しながら、タカシの肩を優しく叩きます。



ジェラシー・・・?(焼きもち)
タカシは、心の奥に隠れていた何かが疼き始めるのを感じました。
その後。
タカシは部屋に戻り、机の上の「高知新報」の記事に目を落とします。
千尋から勧められた、新聞社の漫画の応募要項です。



・・・。
タカシはペンを取り、行き場のない思いをぶつけるように、がむしゃらに漫画を描きました。
女子はつまらん
パン食い競走の前日。
貴島がパンの進み具合を見に朝田家にやってきました。



ふむ、順調そうやな。
安心して立ち去ろうとする貴島に、のぶが意を決して話しかけます。



あの、貴島中尉!
うち、足だけは自信があるがです。



おお、こんまい頃からよう走りよったねや。



う、うちも出場したいがです・・・。
パン食い競争は、例年、男子のみの参加となっています。
のぶの声が聞こえ、釜次が血相を変えて身を乗り出して叫びました。



のぶ!女子が何言いよらぁ!
嫁のもらい手がのうなるぞ!



・・・女子は出たらいかんという規則ながですか。



朝田。
そんなことより、パンの準備をぬかりのう頼む。
のぶの本気の申し出を、貴島は特に取り合うことなく帰ってしまいました。
商店街の空き地。
のぶがモヤモヤした気持ちで歩いていると、シーソーで漫画を読んでいるタカシを見つけました。



タカシ、なんで家で漫画読まんが?



うーん・・・。



あ、おばさんに漫画ばっかり読まんと勉強せえ!って言われたがやろ。
いたずらな笑みを浮かべるのぶ。
図星のタカシは、のぶから目線を反らします。



それでも、タカシはえいな・・・。
女子はつまらん。



パン食い競走にも出られんがやって。



女子はつまらん・・・。



・・・。
珍しく落ち込むのぶに、タカシは何も言うことができませんでした。
祭りの日
お祭りの当日。
パン食い競争の出場者の列は続々と延びています。
優勝賞品はラジオ。
小学校のガキ大将だった岩男や康太、そして千尋とタカシの姿もありました。



・・・あ!
のぶは、男子の中に少女が並んでいるのを見つけました。



女子は出場できんぞ。
教師の伊達が少女に気づき注意をすると、少女は
・・・そうなが?
と不思議そうです。



先生、あくまで子どもの部です。
女の子が参加してもえいがじゃないですか?



いかんいかん。
女子の参加はいかん。
のぶの訴えは取り合ってもらえず、少女は列から外されてしまいます。
いよいよパン食い競争が始まろうとする時、なぜかタカシがのぶのもとにやってきました。



のぶちゃん・・・ぼく棄権するよ。



は?タカシ、たっすいがは、いかん!



違うんだ、めちゃくちゃお腹が痛くて。
これ、預かって!
タカシはタスキをのぶに渡し、便所へと走っていってしまいます。



用意・・・バン!
貴島がスタートの合図をすると、選手たちが一斉にスタートを切りました。



みんな、頑張れー!



千尋くん、速いちや!
皆が声援を送る中、くらがのぶの姿を発見します。



・・・のぶ!?
先頭は岩男、二番手は千尋。
それに続く選手たちの後方から、のぶが猛烈に追い上げていきます。



ハチキンおのぶや!



お姉ちゃん、本気や・・・。
あんぱんが吊るされているポイントでは、先に着いた岩男が紐を揺らして他の選手を妨害していました。
遅れて到着したのぶも、パンをくわえることができません。
男たちの中で揉みくちゃになっていると、のぶは思いきり誰かに突き飛ばされました。



うわぁ!
倒れそうになったその瞬間、何者かが背後からのぶを支え、体勢を持ち直しました。
最初にあんぱんをくわえることに成功したのは、岩男。
のぶは二番手、そのあとに千尋が続きました。
ゴールまであと少し、のぶはとてつもない爆発力を見せ、岩男を追い抜きます。
のぶは一位でゴールし、岩男、千尋の順です。



一等は女子や!



お姉ちゃんが優勝や!



すごい!!
遠くから見ていたタカシは、優勝したのぶの姿が誇らしく、大声で叫び出したいほどでした。



失格失格!
そもそも女子は出場禁止や!
しかし、伊達が一喝し、のぶの優勝は幻となってしまいます。
のぶがしゅんとしてグラウンドを出ようとすると、先ほど出場を禁じられた少女がニコリと微笑みました。
本当の一等賞
商店街の空き地。
一人で落ち込むのぶに、タカシが話しかけます。



失格なんて・・・ひどいな。



うちがアホやった・・・。



のぶちゃんは何も悪くない。
みんな、女の子に負けたのが悔しいんだよ!



・・・タカシ。
お腹下したらあて、嘘やろ。
うちにパン食い競走の選手、譲ってくれたがやね。



ラジオはもらえんかったけんど、必死に走って走って、一番に着いた時・・・
うち、こじゃんと気持ちよかった。



ありがとう。
タカシのおかげや!
そこへ、優勝賞品のラジオを抱えた千尋が笑顔で近づいてきました。



岩男さんは紐を揺らした反則で失格になって、わしが繰り上げの一等になったがや。



でも一等賞は、のぶさんや!
ラジオはうちにもあるし、のぶさんが受け取ってください。
千尋はそう言ってピカピカのラジオをのぶの前に置きます。



たまるかー! !
千尋くん、ありがとう!
ラジオを抱きしめて歓喜するのぶに、タカシはまた胸がチクリと痛みました。
のぶの夢
翌朝。



いっちに、さん、しー!
朝田家の店先でラジオ体操が始まり、近所の子どもたちも集まっています。



腕をダーン!足をピーン!
子どもたちに体操の動きを教えるのぶは、生き生きと楽しそうです。
体操が終わり、子どもたちを見送りながら、 のぶは自分の胸に何かが芽生えたのを感じました。



みんな、うち話があるんやけど。
学校から帰ったのぶは、みんなの前で正座をします。



うち、なりたい夢が見つかったがやき・・・。



将来は、学校の先生になりたいがです!



は?学校の先生じゃと!?
いかんいかん。
嫁に行きそびれるに決まっちゅう。



うちはお姉ちゃん、応援する。
パン食い競走でお姉ちゃんが走りゆうの見た時、何か胸がスーッとしたがよ。
お姉ちゃんの夢は、うちの夢や!



蘭子も何言いゆがな。
女子は女子らしゅう!



・・・お言葉ですけんど、お義父さん。
女子らしゅうって、何ですろうか?
ずっと黙って聞いていた羽多子が、静かに話し始めました。



結太郎さんが言いよったやないですか。
『海の向こうの国やったら、社会に出て男に負けんばあ活躍しゆう女の人らあがおる。のぶ、 自分の夢を諦めるな』って。



お義父さん、お願いします。
のぶの夢を潰さんといてください!
羽多子、のぶ、蘭子が三人で頭を下げます。
釜次は、そんな親子の熱意に押され、認めざるを得なくなりました。
予想外の知らせ
柳井医院。
タカシは、自分だけが置いてけぼりになっているようで落ち込んでいます。



兄貴、大変や!
前に新聞社に出した漫画あったやろ。
結果が届いちゅう!



今はいい・・・。



じゃあ、わしが開けるで。
千尋がビリビリと勝手に封筒を破くと、なんと中には為替証書が入っています。



あ、兄貴、入選しちゅう!
賞金、十円の為替や!!



ええ!?!
タカシは思わぬ事態に腰を抜かしそうになりました。
10円の価値
昭和10年(1935年)頃の大卒初任給が月90円(20万円)ということを勘案すると、賞金10円は現在の紙幣価値の2~3万円ほどと推測できます。
確かめたいこと
御免与駅。
貴島が海軍に戻る前に、のぶは確かめたいことがありました。



貴島中尉!



おう、朝田。どういた?
わざわざ見送りに来てくれたがかえ。



中尉さんにお礼を申し上げとうて。
中尉さんのおかげで・・・
自分の夢が見つかった気がするがです。



うち、女子師範学校に進んで、体操の教師になりたいと思うちょります!



それはえい!頑張りなさい。



ありがとうございます!



それから、もうひとつ。



パン食い競走の時・・・
転びそうになった私を助けてくださったがは、誰か分かりませんろうか?
貴島は、パン食い競争の審判をしていました。



ああ・・。
あの時、君を助けたがは、二等になった学生ながよ。



千尋くんが・・・。
高知行きの列車が到着するアナウンスが流れ、貴島は去っていきました。
紛らわしい告白
次の日曜日。
のぶ、蘭子、メイコは、屋村と夢ヶ浜の近くまで配達に行くことになりました。
配達を終えた屋村と三姉妹。
屋台でかき氷を食べていると、遠くからタカシと千尋が歩いてきます。



あれ、のぶちゃんたちも来てたの?



うん。配達の帰りや。そっちは?



ヤムさんに呼ばれて・・・
タカシが賞金をもらったということで、氷代をおごらせるために屋村が呼んでいたのです。



賞金はこういう時に使うんだ。
十円もあるんだから、みんなで幸せを分かち合わないとな!
ははは!



そういえばお姉ちゃん。
千尋くんに言わんといかんことがあるがやって。
蘭子に促されると、のぶは恥ずかしそうにうなずきました。



あ、あの、ラムネ5本ください!
タカシは思わず動揺し、急いでラムネを五本注文します。



千尋くん、ずっとお礼、言いたかったがよ。
パン食い競走の時、うちのこと助けてくれたそうやね。
本当にありがとう。



うちね、あの時、一等になれたおかげで大切なこと思い出したがよ。
女子でも、思いっきり夢追いかけてえいがやって。
そう言って、のぶはお礼にあんぱんの入った包みを千尋に差し出しました。



わし、大好きです。



・・・!?
少し後ろで二人の会話を聞いていたタカシは、思わずラムネを落としそうになります。



・・・朝田パンのあんぱん。



たまるかー!
のぶ姉ちゃんのことかと思うた。



ふふふ。
半分本気ともとれるような、千尋の紛らわしい告白。
タカシは胸の切なさを消すように、ラムネを勢いよく飲み干しました。
焼いて焼かれて
商店街に戻ったタカシ。
団子屋の前で夕涼みをしている屋村の隣にしゃがみ込みました。



・・・ヤムさんは、ジェラシーって、感じたことありますか。



ジェラシー?やきもちか。
俺が焼くのはパンだけだ。



そうですか・・・。



焼いて焼かれて。
だからこそ人生は面白いんじゃないか?



はぁ・・・。
タカシは大きなため息をついて、空を見上げました。
その時。



タカシ・・・久しぶり。
こんなに大きくなったのね。
長年音沙汰のなかった、母・登美子が歩いて近づいてきます。



・・・。
田舎の商店街に似つかわしくない派手な母を、タカシは呆然と見つめるしかできませんでした。
8年の空白
登美子は離縁して再婚先の家を追い出され、行き場をなくして柳井家に戻ってきたのでした。
数日経ったある日。
タカシの部屋に、突然登美子が入ってきました。



タカシ、ちゃんと勉強してる?



・・・。
漫画を読んでいたタカシは、とっさに千尋の話題に切り替えます。



千尋はすごいです。
勉強も柔道も頑張ってます。



そう。
体が弱くて、いつもタカシの後ろに隠れてた千尋ちゃんがねぇ・・・。
敬語でしか話さないタカシとの距離感を登美子も感じています。
気まずい雰囲気の中。
登美子は部屋を見回し、さりげなく飾られている高知新報の漫画に気がつきました。



タカシ、これ、賞取ったの?



・・・・・・はい。まあ。



すごいじゃないの!!おめでとう!



うふふ。これ、すごく面白い!
タカシはやっぱり清さんの子ね。
登美子はとびきりの笑顔でタカシの頭をくしゃくしゃと撫でました。
母が喜んでくれていることに、タカシは素直に嬉しくなりました。
タカシの涙
ある日の昼下がり。
団子屋の店先で、登美子がタカシにぽつりと弱音を吐きました。



タカシは怒らないのね。
私のこと、責めないし・・・
ダメな母さんでしょ。



人生は、いろいろあるから・・・。
いつになく弱気な母をタカシが励まそうとすると、登美子は小さく笑いました。



でもお母さん、あの家では肩身が狭いの。
千尋もそっけないし。



気にしないでいればいいじゃないか。
ずっといればいいよ・・・。
そんな二人の前を、偶然のぶが通りかかりました。



のぶちゃんなの?
きれいになったわね!



・・・。
登美子が離縁して帰ってきたことは、商店街ではすでに広まっていました。
のぶは鋭い眼光で、じっと登美子を見つめ返します。



・・・あの日。
嵩がどんな気持ちであなたに会いに行ったか、分かっちゅうがですか。



そのあとも、嵩はずっとあなたからの連絡、待ちよった。
8年間ずっと・・・・。



それやのに、あなたは、便りひとつよこさんかった!



今頃、何しに戻ってきたがで?
これ以上、タカシを傷つけるがはやめちゃってください!
のぶの目には涙が浮かんでいます。



のぶちゃん!もうやめてくれ!!
突然、タカシが大きな声で叫ぶと、のぶは我に返りました。
タカシも、ボロボロと泣いていたのです。



のぶちゃんは、母親に捨てられたことないだろ!
それでもずっとこの人に会いたかった・・・・。



のぶちゃんに何が分かるんだよ!



・・・・。
のぶは言葉を失い、手で涙をぬぐうと、 その場を飛び出しました。
昔から、タカシを守ろうとするといつも失敗する・・・。
やりきれない気持ちを散らすように、のぶはひたすら走り続けました。
医院の後継ぎ
翌朝。
柳井家の朝食の時間、千尋が突然手を止めて切り出しました。



お父さん、お話があります。



わしは医学ではのうて、法学を学ぶことにしました。
千尋の突然の決意表明に、千代子、登美子はもちろん、タカシも驚いて口が閉まりません。



貧しゅうて今日食べるもんもない子どもらあや、社会でしいたげられた女性らあ。
そういう人らあを法の力で救いたいがです!



・・・・・・そうか。
けんど、どういて急に?



世間の重しをはね返して、我が道を行く人を見て・・・。



わしもああ生きよう、そういう人らあの力になろう、と思うたがです。
千尋が言っているのは、のぶのことなのだろうか、とタカシはパン食い競争のシーンを思い出していました。



お父さん。
医院を継げんで申し訳ありません。



そんなことは、どうじゃちえいがや。



どうじゃちようないでしょう!
この医院はどうなるがですか?
思わず取り乱す千代子。



・・・ご心配なく。
いざという時は、千尋さんの代わりにタカシが医者になりますから。



寛先生、この子はやればできる子なんですよ?
突拍子もない登美子の言葉に、一同は呆気にとられ、タカシも口をパクパクさせています。



タカシ、自分を信じてみなさい。
なぜか自信たっぷりな登美子。
タカシは、予想外の展開に固まってしまいました。
~あんぱん第3週おわり~
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