やなせたかし夫婦をモデルにした2025年の朝ドラ「あんぱん」。
この記事では、第5週「人生は喜ばせごっこ」のあらすじとネタバレをお届けします。
第5週の内容をざっくり言うと
- のぶが女子師範学校に入学し、教師の黒井の指導のもと厳しい寮生活が始まる
- 嵩が「絵を描いて生きていきたい」という本音を家族に打ち明け、芸術系の学校の受験勉強を始める
- のぶが一ヶ月ぶりに帰省し、家族のありがたさを実感して涙する
- 岩男が蘭子に求婚し、蘭子は想いをよせる豪に相談するが、自分の片思いだったと痛感する
- 蘭子は家のために岩男の縁談を受けようとするが、のぶとメイコが阻止して本音を聞き出す
- 嵩は受験会場で「辛島健太郎」という漫画好きな人物と意気投合する
- 嵩は東京高等芸術学校の受験に合格し、新たな一歩を踏み出す
それでは、あんぱん第5週の詳しい内容を見ていきましょう!
【あんぱん第5週】あらすじとネタバレ吹き出し
のぶの新たな旅立ち
昭和十一(一九三六)年四月、のぶは女子師範学校の寮に入るため、生まれ育った家を離れることになりました。真新しい制服を着たのぶを、家族みんなが見送ります。
くらは心配そうにのぶに声をかけました。

辛うなったら、いつっでももんてきてえいがやきねえ?
のぶは笑って答えます。



くらばあ、大げさやき。奉公に行くわけやないき
駅に向かう前、家族からの無言のエールを受け、のぶは決意を新たにします。



朝田のぶ、えい先生になれるよう、一生懸命気張ってきます!行ってきます!
のぶが去った後、嵩は商店街の柱の陰からそっとのぶを見送っていました。春の光が商店街を照らし、のぶの姿が見えなくなるまで、嵩は心の中で手を振り続けたのでした。
厳しい師範学校の現実
女子師範学校に入学したのぶは、厳格な空気に圧倒されます。担任の黒井雪子は生徒たちに厳しく接し、国のための覚悟を問いかけます。
黒井は威厳のある声で言いました。



今日からあなたたちを指導する担任の黒井雪子です。
教科は国語と体操を受け持ちます。
皆さんには日本婦人の鑑たるべき女性教師になっていただきます。



私は家族みんなあの支えがあって、ここに来ました。
それに応えるために努力は惜しまんつもりです
のぶが家族の話をすると、黒井は一喝します。



家族のために?愚かしい…皆さんの学費は官費です。
国のために尽くす覚悟のない者は去りなさい!
寮生活も想像以上に厳しく、上下関係や数多くのルールに縛られていました。朝は先輩より早く起き、夜は先輩のお世話をするなど、一年生の務めは重いものでした。


嵩の本音と決断
一方、浪人生の嵩は心にモヤモヤを抱えていました。弟の千尋との会話で、嵩はついに本音を吐露します。



伯父さんが言ってただろ。
何のために生まれて、何のために生きるのかって・・・・・
あの言葉がずっとグルングルン回ってるんだ。
俺は、俺は・・・・



兄貴、遠慮せんで吐き出せえ



本当は、絵を描きたいんだ…
絵を描いて、生きていきたい!
この告白を寛と千代子も聞いていました。千代子は心配しましたが、寛は嵩の決断を支持します。



絵では食うていけん…
それやったら、現実と折り合いをつけるしかない。
図案やったら飯が食える…かもしれん。
本の挿絵や広告の絵を描けたらや。いや、断言はできん。
食えるかもしれん、や。
嵩、かもしれんに、人生を賭ける覚悟はできちゅうか?
嵩は覚悟を決めました。



はい。何のために生まれて、何をして生きるのか分からないまま終わる…それだけは嫌なんです
史実においても、伯父の柳瀬寛さんは「図案なら飯が食える」と、東京高等工芸学校図案科(現:千葉大学工学部デザイン科)の受験を勧めてくれたそうです。この時に違う道に進んでいたら、アンパンマンの作者としての先生は誕生していなかったかもしれません。
蘭子の本心
日曜日、郵便局で働く蘭子は家業の手伝いをしていると、岩男がパンを買いにやってきました。岩男が帰った後、羽多子は洗濯物を干しながら、それとなく蘭子に切り出します。



…ずっと気になっちょったがやけんど、蘭子も本当は上の学校に行きたかったがやない?
蘭子が一番勉強できたし、あんたやったら、お父ちゃんの遺言、一番ちゃんと果たせるやろ。
蘭子も我慢せんと、行きたい所へ行って、したいことしてえいがで



我慢なんかしちゃーせん
蘭子はきっぱりと答え、続けました。



うちはどこちゃ行きとうない…この家がえいが。
朝は、ふいごの音で目を覚まいて、ノミのカンカンいう音、焼きたてのパンの匂い…コツコツ、石を削る音。
そういう、この家が好きながよ。



お姉ちゃんの志は、先生になること。
うちの志は、この家で、みんなあの役に立てること。
それやったら、いかん?
のぶの帰省
のぶが一ヶ月ぶりに帰省すると、家族全員で夕食を囲みます。あんぱんを食べたのぶは、涙を流しながら気づきを語りました。



家から離れて初めて分かった。
うち、この家に生まれてよかった。
この家族でよかった・・・
そこへ嵩が訪ねてきて、美術学校を受験する決意を伝えます。



実は、美術の学校を受験することにしたんだ。
のぶちゃん…僕は、絵を描いて生きていく
のぶは驚かない様子で嵩を見つめました。



分かっちょったよ。
嵩が最初に絵を描いてくれた時から、うち、分かっちょった



嵩は絵を描くために生まれてきた人やき



のぶちゃん、ありがとう。
何だか力が湧いてきた・・・・・勇気百倍だよ。
のぶの言葉に嵩は勇気づけられ、晴れやかな表情で帰っていきました。
岩男の求婚
ある日、羽織袴を着た岩男が朝田家にやってきました。釜次の前で真剣な表情を見せます。



わしは本気です。蘭子さんを嫁にください



パン食い競走の手伝いに来ちょった蘭子さんに、わしは一目惚れをしました。
郵便局で働く姿も麗しく、ずっとお慕い申しておりました
蘭子は無表情のまま立ち上がり、静かに言いました。



すみません。出勤する時間なので
後日、蘭子は空き地で石を運ぶ豪に縁談のことを尋ねます。



豪ちゃん、うちの縁談、どう思う?



お金持ちやし、えい話やと思います
豪の冷淡な返事に失望した蘭子は、その夜、羽多子に告げました。



うち、あのお話、お受けしようと思う。
良さそうな人やし、こんなえい縁談、もうないかもしれんき
羽多子は蘭子を止めようとしますが、蘭子の決意は固いようでした。
のぶと黒井先生の対立
学校では、黒井先生が薙刀の授業でうさ子を厳しく指導します。うさ子が倒れると、黒井は厳しい声で叱責しました。



立ちなさい!
これからの日本婦人は温順貞淑なだけではいけません!
一旦国家が非常時となったら、女も決然としてあらゆる道で祖国のために尽くさねばならないのです!立て、立ちなさい!
うさ子が泣き始めるのを見かねたのぶは立ち向かいます。



あんまりです、先生!



あなたは自分が強いと思っているんですか?
弱い者を守れると?
のぶも黒井に立ち向かいますが、簡単に打ち負かされます。



朝田のぶ。あなたは実に弱い。
この子を守ることさえできない
この経験から、のぶとうさ子は二人で特訓することを誓い合います。



ねえ、のぶちゃん、一緒に強うならん?



うちも同じこと考えちょった
姉妹の絆
のぶは蘭子の縁談を知ると急いで家に戻り、蘭子を探します。喫茶店で岩男と会っていた蘭子を見つけると、のぶはメイコと共に割り込みます。



蘭子!早まったらいかん!
岩男が驚いて振り返ると、メイコが岩男の過去を暴露します。



蘭子姉ちゃん言いよったやんか。
岩男さんがパン食い競走でズルした時・・・・・



メイコ、それは言うたらいかん!



「あんなズルいヤツは、食パンの角に頭ぶつけてしまえ」って
その言葉を聞いた岩男は、驚きのあまり口をあんぐりと開けました。のぶはフォローしようとします。



岩男、ごめんなさい!
うちの姉妹は三人とも口が悪うて・・・・・そういうことやき、連れて帰ります!ご迷惑おかけしました
三姉妹は喫茶店を後にします。その夜、蘭子はのぶに本心を打ち明けます。



好きな人がおって…
その人はうちのことらあ、なんちゃあ思うちゃあせんって分かったがやき。
ほいたら、誰に嫁いだって同じゃ…お金持ちなら儲けもんやし
のぶは黙って、泣く蘭子を抱きしめるのでした。
うさ子の成長
風に秋の香りが混ざり始めていた頃、のぶとうさ子は先輩たちの立ち合いの下、なぎなたの稽古に励んでいました。
以前はのぶのほうが圧倒的に強かったのに、その日は五分五分の競り合いになっていました。



うちね、のぶちゃんが週末、御免与町に帰っちゅう時も、ここに残ってずっと稽古しよったがよ



そうなが!



先輩だけやのうて、黒井先生にも指導してもろうた。
うち、思うたがよ。
もっと強うなって、黒井先生に認められたい…うちは黒井雪子先生みたいに強うなるがやき
この半年で、うさ子は身も心も師範学校の生徒となっていました。
一方、のぶの心の一部は、今も御免与町にありました。
健太郎との出会い
嵩は、一校目に受けた「京都高等工芸学校」は呆気なく落ち、さらに倍率の高い「東京高等芸術学校」を受験する日になりました。
試験会場で席に着くと、斜め前の受験生が振り返ってきました。



あんた、京都にもおったろうもん?
嵩は戸惑いながらもうなずきます。



あんた絵がうまかったけん顔覚えとったとって。
受かったっちゃろ?



ダメだった



えー。俺もよー。お互い大変やねー
親しげに話しかける受験生は試験官を見て、声を潜めます。



なあなあ。
あん人、誰かに似とらん?誰やったかいな



…フクちゃん?



あああ。フクちゃんばい!
『フクちゃん』ってな、最初、主人公は『ケンちゃん』やったとよ。
俺。辛島健太郎。あだ名はケンちゃん。
やけん応援しよったのに、いつの間にフクちゃんが主役になっとっちゃもん



横山先生が、フクちゃんに思い入れが強くなったんだろうね



なん? 詳しいやんか。漫画好きと?
試験官に注意され、二人は慌てて黙ります。緊張感の中、試験が始まりました。
嵩の合格
合格発表の日、嵩は寛と共に掲示板を見に行きました。途中で受験会場で会った健太郎と出会いますが、彼は落ちたようで力なく首を横に振りました。
嵩の受験番号九十七番は、見事合格していました。



数学の試験に・・・・伯父さんが丸暗記しろって言った公式を使った問題がそのまま出たんです



たまるか!!出たか
史実においても、やなせたかしさんは「数学は丸暗記」という方法で見事合格しています。数学が苦手で全く理解できなかったため、何冊かの参考書の問題と答えを暗記したそうです。



頑張ったがは、嵩や。
嵩!おまんが頑張ったがじゃ!
嵩は喜びと安堵で泣き崩れ、寛は嵩を抱きしめて祝福します。
そんな二人の様子を遠くから見ていた登美子は、



おめでとう
と小さく呟くと、気づかれないまま立ち去りました。
人生は喜ばせごっこ
合格を機に、嵩と寛は銀座のパン屋に立ち寄り、あんぱんを買います。





ここに来たかったんです・・・・
僕が東京の家で暮らしてた頃、父がここでパンを買ってきてくれて。
それを母さんとまだ小さい千尋と食べたんです。
みんな笑ってて・・・いつまでも消えない、幸せな記憶です。
嵩は幼い頃の思い出を語り、寛は人生の意味について語りかけます。



清が生きちょったら、おまんの合格をさぞかし喜んだやろうねや。



嵩、何のために生まれて、何のために生きるか?
わしは思うがよ。それは、人を喜ばせるためや。
今日は嵩がわしを喜ばせてくれた。
おまんのあんなにうれしそうな顔を見て、わしもこじゃんとうれしかった



人生は喜ばせごっこや
「人生は、よろこばせごっこ」という言葉は、やなせたかしさんの言葉です。人生の中で「人をよろこばせることが一番嬉しい」ということに気づき、この名言を残しています。
二日後、帰省したのぶは駅で嵩と再会します。のぶは目を輝かせて嵩を祝福しました。



よかったね…おめでとう!



その学校、大丈夫か?嵩を合格させるなんて
屋村からも祝福の言葉と特大の「祝あんぱん」が贈られ、皆で笑い合うのでした。つらい冬を越え、嵩にもようやく春が訪れようとしていました。


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