朝ドラ「あんぱん」の放送で再注目されているやなせたかしさんの作品。
あんぱん第22週「愛するカタチ」に登場した「やさしいライオン」は、その後、絵本やアニメにも派生してたくさんの人々に感動を与えます。
そんなやなせたかしさんの代表作「やさしいライオン」は、どんなお話なのでしょうか?
今回は、
- やさしいライオンのあらすじは?
- やさしいライオン(ブルブル)の結末!最後どうなった?
- やなせたかしさんがやさしいライオンを作った理由とは?
について詳しくご紹介していきます!
やなせたかし「やさしいライオン」のあらすじは?

「やさしいライオン」は、子どもを失った母犬ムクムクと、母を失ったライオンの赤ちゃんブルブルの交流を優しくつづった物語です。
詳しく見ていきましょう。
やさしいライオンとは
「やさしいライオン」は、1967年(昭和42年)にラジオドラマにて発表された作品です。
元々は雑誌PHPに、短いコントとして載せたのが始まりでした。
ラジオドラマが放映されると、たちまち人気に火がつき、絵本にもなりました。
「やさしいライオン」は、やなせたかしさんの絵本作家デビュー作です。
その後、手塚治虫さんとのご縁でアニメ化が実現し、1970年に約28分のアニメ映画が公開に。
Youtubeの公式で冒頭のみ公開中
こちらも反響が大きく、映画は「毎日映画コンクール大藤信郎賞」などを受賞し、アニメ史に残る名作となったのです。
やさしいライオンのあらすじ
「やさしいライオン」のあらすじ内容を紙芝居風でご紹介します。

ある国の野外動物園に、みなしごのライオンがいました。
毎日、
「お父さんもお母さんもいなくて、ボク寂しいよお」
と泣いてばかりいました。
とても痩せていて、いつも寒そうにブルブル震えていましたから、「ブルブル」という名前がつきました。
ブルブルは、ミルクも上手に飲めません。
ブルブルはこれから生きていけるのでしょうか?

ところが、赤ちゃんを亡くしてとても悲しんでいるメス犬がいました。
ムクムク太っていましたから、「ムクムク」という名前でした。
このムクムクがライオンのお母さんの代わりをすることになりました。
ムクムク:さあ、ブルブル。今日から私がお母さんよ。いうことをちゃんと聞くのよ。
ブルブル:はーい!
ブルブルはたちまち元気になりました。
ムクムクはとても優しい犬でしたから、ブルブルは嬉しくて、
ブルブル:おかあさーん!
といって甘えました。

ムクムクはブルブルに、子守唄を歌って聴かせました。
ぶ〜るぶ〜る、いいこね、ねむりなさ〜い♪
ねむりなさ〜い♪
ミルクをたくさんのみなさい〜♪
たくさんたくさんのみなさい〜♪
ルララララ〜ルララ〜♪
ブルブルは、お母さんの背中でとてもいい気持ちでぐっすり眠りました。

そして何年か経ちました。
ブルブルは立派なライオンになりました。
ムクムクは歳をとりましたが、まだとても元気でした。
ブルブル:お母さん!ぼくは世界中でお母さんが一番好きだよ!
ムクムク:ブルブル・・・私も世界中でお前が一番好きですよ。
ブルブルとムクムクは、とても幸せでした。

こうしてブルブルとムクムクは、毎日楽しく暮らしていたのですが・・・
ある日、ブルブルは、トラックに載せられてどこかへ運ばれていくことになりました。
ムクムク:ブルブル、待ってー!
ブルブル:お母さん!
でもどんなに走っても、トラックに追いつけるわけがありません。
とうとうブルブルとムクムクは、離れ離れになりました。
そしてまた何年か経ちました。

ライオンのブルブルは、今ではサーカスの人気者になっていました。
サーカス団:さあさあ、ライオンの玉乗りだよ!
何しろブルブルは、ムクムクからいろんなことを習っていましたし、ムクムクとそっくりの優しいライオンでしたから、みんなにとても好かれていました。
でも夜になると、思い出すのは楽しかった昔のことです。
ブルブル:ああ、お母さんは今頃どうしているのかなぁ?

その夜も、ブルブルは檻の中で眠っていましたが・・・
遠くの方で、あの懐かしいムクムクの歌う子守唄が聞こえてきたのです。
ぶ〜るぶ〜る、いいこね、ねむりなさ〜い♪
ねむりなさ〜い♪
ミルクをたくさんのみなさ〜い♪
たくさんたくさんのみなさい〜♪
ブルブル:あ!お母さんだ!!!
ブルブルはものすごい力で檻を破って飛び出しました。
ガシャーン!
サーカスのテントを突き抜けて、懸命に走ります。

小さな町は大騒ぎになりました。
警官隊:大変だ!大変だ!ライオンが飛び出したぞー!
警官隊:ライオンに噛まれるぞー!
警官隊がライオンの後を追いかけます。
隊長は大声で叫びます。
隊長:ライオンを見たら、すぐにうつんだ!それいけー!

町外れの林の中で、ブルブルはすっかり歳をとって今にも息絶えそうなムクムクを見つけました。
ブルブル:お母さん!会えてよかった!
ムクムク:私もよ・・・ブルブル。長い間、お前を探していたのよ・・・。
ブルブルとムクムクはしっかり抱き合いました。
ブルブル:お母さん!今度こそ離れないで、一緒に暮らそうね?
ブルブル:ぼく、お母さんを大切にします!

その時、林に警官隊が到着しました。
警官隊は、ブルブルに狙いを定めます。
うってはいけないのに・・・。
ブルブルはとってもやさしいライオンなのに・・・。
でもそれは、隊長にはわかりません。
隊長:ライオンをうてーー!!
ドカーン!
一斉に火を吹き、しばらくは煙が立ち込めて、何も見えません。

ブルブルはムクムクをしっかりと胸に抱いて、倒れていました。
ブルブルもムクムクも、笑ったような嬉しそうな顔をしていました。
ブルブル:ぼく、お母さんに会えて・・・うれしいなぁ・・・!
ムクムク:あたしもよ、ブルブル・・・あなたに会えたから・・・もういいの。とても幸せよ。
と言っているようでした。
ブルブルとムクムクの上に、雪が降り始めました。
雪はどんどん白く積もりました。

その夜のことです。
「年寄りの犬を背中に乗せたライオンが飛んでいくのを見た」という人が何人もいました。
きっとそれは、ブルブルとムクムクに違いありません。
どこか遠くの知らない国で、ブルブルとムクムクは幸せに暮らしているでしょう。
今でもきっと、生きていますよ。
あんなにやさしいブルブルとムクムクですもの。
〜やさしいライオン・終わり〜
やさしいライオンのテーマ
やなせたかしさんの「やさしいライオン」のテーマは、
- 種別を超えた心の結びつき・親子愛
- 人間社会の都合や不条理
の2つがあるように感じます。
筆者自身は、「どんなにやさしくても、どんな事情があったとしても、ライオンが檻を出てしまえば人間の脅威(危険)になってしまう」という流れに胸が苦しくなりました。
「やさしいライオン」のアニメ版では、
それはね、この世の中が人間のために、都合のいいようにできているからよ。
というセリフもあります。
ブルブルとムクムクの物語が伝えるメッセージ、あなたはどう感じましたか?
やさしいライオン(ブルブル)の結末を考察!最後どうなった?

「やさしいライオン」の絵本、アニメ版、紙芝居のどれもが、「結末は視聴者の想像に任せる」という形がとられています。
それぞれの結末をご紹介しながら、ブルブルとムクムクは最後どうなったのかを考察していきます。
①絵本版の結末
ブルブルが倒れた後の絵本版「やさしいライオン」の結末はこうです。
雪の丘にブルブルの足跡がついていました。
でも、不思議なことに丘の中ほどで足跡がふっつりと見えなくなっていました。
その夜のこと、年寄りの犬を背中に乗せたライオンが飛んでいくのを見たという人が何人もいました。
おわり
絵本版では、その後起き上がり、丘の途中までは「ブルブルが動けていた」ことをほのめかしています。
そして、「その後、どうなったかは分からない(どこかへ飛んで行った)」という終わり方です。
②紙芝居版の結末
紙芝居版の「やさしいライオン」の結末は、先ほどご紹介した通りです。
「年寄りの犬を背中に乗せたライオンが飛んでいくのを見た」という人が何人もいました。
きっとそれは、ブルブルとムクムクに違いありません。
どこか遠くの知らない国で、ブルブルとムクムクは幸せに暮らしているでしょう。
今でもきっと、生きていますよ。
あんなにやさしいブルブルとムクムクですもの。
おわり
紙芝居版では、「二人はきっと幸せに生きている」と希望を残す結末となっています。
これは、紙芝居を読む子供達に配慮しているのかもしれません。
③アニメ版の結末
アニメ版の「やさしいライオン」の結末を見ていきましょう。
アニメ版では、副音声のように物語を見守る子供と大人の声が入っています。
子供:ブルブルもムクムクも生きているよね・・・?
ブルブルはムクムクを背中に乗せて、どこまでもどこまでも走りました。
大人:さぁ・・・?
とにかく、雪の上に足跡はついていましたが、林の真ん中へんでぷっつりと見えなくなっていたのです。
子供:アフリカまで走っていけば、ブルブルも生きていけるよね?
大人:そんなに遠くまで走れるかしら・・・?
子供:走れるさ!走れ、ブルブルー!!
おわり
アニメ版でも、ムクムクとブルブルがどうなったかはっきり語られていません。
そして、エンディング映像では、「ブルブルは月の彼方まで飛んでいった」という描かれ方をしています。

希望を残す終わり方ではあるものの、「二人は一緒に星になった(亡くなった)」と解釈するのが自然な気がします。
一方で、倒れているライオンも犬も見つかっていないことから、結論づけるものではなく、どちらともとれない終わり方とも言えます。
個人的には、「悲しい結末かどうか」ということよりも「二人はやっと一緒になれた」という親子の絆が美しく描かれている部分に注目したいと思います。
やなせたかしが「やさしいライオン」を書いた理由とは?

「やさしいライオン」は、実際に起きた2つの「ニュース」と「自分の生い立ち」を重ねて作られた物語です。
物語の着想のきっかけとなったニュースとは、
- ドイツの動物園で犬がライオンを育てた出来事
- サーカスの猛獣が逃げ出して処分された出来事
だと後に語られています。
特に、「犬がライオンを育てた」という出来事は、やなせたかしさんの母への気持ちを思い出させるものになったようです。
詳しく見ていきましょう。
他の動物を受け入れる犬
残念ながら、やなせたかしさんが実際に見たドイツのニュースを特定することはできませんでした。
しかし、スリランカの動物園では、犬がライオンを育てるケースがあったようです。
犬は、「多種間育児」を比較的受け入れやすい動物とされています。
特に、お母さん犬の出産直後や授乳期などは、母性が特に強まり、自分の犬以外の赤ちゃんを受け入れて育てる例が報告されています。
【犬が育てた例】ネコ、リス、タヌキなど
そのため、犬は動物園や保護現場などで「代理母」になりやすい傾向があるようです。
二人の母と重ねる
やなせたかしさんは、小学2年生の時に実母が再婚し、伯父と伯母に育てられた経験があります。
「血のつながりがなくても我が子のように愛する」という母犬の美談。
これが、やなせたかしさんの育ての親(伯母)との関係と重なったようです。
一方で、「離れて暮らす母親に会いたくてたまらない」というブルブルの気持ちは、本当のお母さんに向けた切なさが伝わってきます。
つまり、母犬ムクムクには、「伯母」と「実母」が重ねられているのですね。
朝ドラ「あんぱん」では、「やさしいライオン」を世に出すことを嵩がためらうシーンもありました。
柳井嵩(やなせたかし)母さんたちがこの物語を聞いたらどう思うだろう・・・
「やさしいライオン」は、やなせたかしさんの中にずっとあった悲しみや切なさを表現した作品と言えます。
この作品が世間に受け入れられたことで、やなせたかしさんは「アンパンマン」を表現する場が与えられ、誰もが知るヒーローが生まれることに。
「やさしいライオン」は、やなせたかしさんの大きな転機となった作品なのです。
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